コールセンター業務を効率化できるとして高い注目を集めているRPA。
パソコンを使用した業務を効率化できるRPAは、現在さまざまな業界で導入が進んでおり、それはコールセンター市場でも例外ではありません。
なぜなら、ロボットによる反復作業の自動化が可能なRPAは、導入することで恒常的に困窮しているコールセンターのオペレーター不足を解消できるからです。
この記事では、コールセンター業務におけるRPAの必要性と、導入するメリット・デメリットをわかりやすく紹介していきます。
コールセンター業務におけるRPAとは
RPAは「Robotics Process Automation」の略称で、直訳すると「ロボットによる反復作業の自動化」という意味になります。
冒頭でも説明した通り、コールセンター業務は恒常的に人手不足に悩まされています。
企業の顔であり顧客との重要な接点でもあるコールセンターは多くの企業が設置したいと考えているものの、人手不足が原因で設置を進められていない場合もあります。
また、コールセンターの仕事はクレーム処理といったストレスが溜まる業務が多いため、離職率が高く採用難であるという点も人手不足を加速させている大きな要因です。
コールセンター業務の人手不足を解消するひとつの案として、近年とくに高い注目を集めているのが「RPA」の導入です。コールセンターに導入されたRPAでは以下の作業が自動化できます。
- データ入力の作業
- リスト管理業務
- ターゲットリストの作成
- 顧客データの収集
- 問い合わせ内容の転記
RPAはデジタルレイバー(仮想知的労働者)とも呼ばれています。
コールセンターには上記のように、手順が決まっていて繰り返し行わなければいけない業務が多くあります。そのような業務をRPAへ丸投げすることで、コールセンターの人手不足を解消することができるだけではなく、人間でなければ行えないコア業務に集中できるようになります。
コールセンター業務にRPAを導入するメリット
ここからは、コールセンター業務にRPAを導入するメリットを紹介していきます。
人手不足の解消
コールセンター業務にRPAを導入する最大のメリットは人手不足の解消です。
ストレスが溜まる仕事であるがゆえに離職率が高いコールセンターは、常に人手不足に悩まされています。どれだけコールセンターの重要性に企業が気付き設置を検討しても、人が集まらなければオペレーターに過度な労働を強いる環境になってしまいます。
しかし、RPAを導入すれば本来であればオペレーターが行うべき仕事を丸投げすることができるため、人が少なくても運用できる環境を構築できます。つまり、人員削減ができるだけではなく、少ない人数でもコールセンターを設置できるようになるというわけです。
オペレーターの業務効率化
RPAを導入して細かい業務を丸投げすることで、オペレーターの業務効率を上げられます。
従来はオペレーターが合間に行っていた仕事をRPAに丸投げできるため、人間でなければ行えないコア業務に集中できます。その結果、今までは片手間で行っていて集中力が分散されていた仕事に集中できるようになりますので、オペレーターの負担も軽減できるようになるでしょう。
オペレーターの業務効率化はそのままコールセンターの品質向上に直結します。企業の顔としての役割も担っているコールセンターの品質が上がれば、企業としての価値も上がるというわけです。
顧客満足度の向上
RPAがオペレーターをサポートできるようになれば顧客満足度を向上させることが可能です。
コールセンターに連絡してきたお客さまはできるだけ早く回答を得たいと思っています。オペレーターがコア業務のみに集中できない環境では、お客さま対応だけに集中することはできません。
RPAを導入していれば回答までの速度を上げることができます。なぜなら、従来であればオペレーターが行っていた仕事をRPAが担っているため、お客さま対応というコア業務のみに集中できるという業務効率化が実現されているからです。
顧客満足度の向上は企業の品質向上にも繋がりますので、ひとりひとりのお客さまに対して最大限のスピード感をもって対応できる環境は構築しておくべきです。
コストを削減できる
コールセンターにRPAを導入すれば効率的に大量の作業が行えるため、人件費などのコストを大幅に削減できるメリットがあります。
作業に携わる人の数もRPAの導入で減らせるため、オフィスのスペース削減にも効果的。今までは広いオフィスが必要だった環境が狭くても済むようになれば、賃料も安くできます。
新人を教育できる
RPAは24時間365日稼働させ続けられます。そのため、熟練のオペレーターは空いた時間を利用して新人を教育できる時間を確保することができるようになります。
離職率が高いコールセンター業務において新人教育は不可欠です。
新人が育たなければ品質の高いコールセンター業務を維持することは不可能なので、新人を育成できる時間を確保できるというのは大きなメリットであるといえます。
コールセンター業務にRPAを導入するデメリット
続いては、コミュニケーション業務にRPAを導入するデメリットを紹介していきます。
業務のブラックボックス化
コールセンター業務にRPAを導入することでブラックボックス化が懸念されます。
ブラックボックス化とは、その業務を知っている方が誰もいない状態になってしまうこと。たとえば、RPAで特定の作業を任せていたが担当者が引き継ぎをせずに退職した場合、RPAの内容や手順を誰も知らないという事態に陥るケースがあります。
対策としては業務に関わらずプロセスをマニュアル化して担当者の引き継ぎを徹底させることですが、自動で作業を行うRPAの存在は知らないうちにブラックボックス化を引き起こしてしまう懸念がありますので、十分に気を付けて対策しておきましょう。
セキュリティリスク
RPAの導入は外部の企業が運営しているシステムを利用することになりますので、不正アクセスによる情報漏洩リスクが0だとは断言できません。
アップデートにより常に最新状態を維持したり、IDやパスワードを暗号化するなどして一定のセキュリティリスクは担保できますが、外部のシステムを使う以上はリスクが常に付き纏います。
ミスがあっても続けてしまう
RPAはこちらが入力した指示に従い動き続けるロボットです。つまり、こちらが指示した内容が仮に間違っていたとしても、それを指摘して止めてくれるようなシステムではありません。
人間であれば上司からの命令が間違っていれば指摘できますが、RPAは間違った作業でも止まることなく動き続けてしまいます。
対策としては、初期のテストで必ず問題がないかどうかを確認するということ。指示が正しければ間違えることなく走り続けてくれますので、定期的なメンテナンスを確認は怠ってはいけません。
まとめ
コールセンター業務におけるRPAの重要性とメリット・デメリットを紹介していきました。
恒常的に人手不足に悩まされているコールセンター市場ですが、その解決策として簡単な業務を省略可できるRPAが高い注目を集めています。
RPAは自動で繰り返し動くロボットなので、どのような業務を依頼するかは企業によりさまざま。
使い方次第ではオペレーターの仕事量を大幅に減らすことができるため、人手不足の解消を作業効率の向上の両方を実現することができます。
人手不足で悩んでいる方や自動化したい作業があるという方は、ぜひRPAの導入を検討してみてください。