従来のカスタマーサポートは電話が主流でした。
しかし最近では、スマホの普及や新型コロナウイルス感染拡大の影響により、電話以外のコミュニケーション手段で顧客対応業務を行う「ノンボイス」が高い注目を集めています。
そのため、多くの企業では電話窓口を縮小し、その代わりとしてさまざまなメリットを享受できるノンボイスでの対応を増やす取り組みを実施しています。
この記事ではノンボイス化の基本概要、広まる背景、導入するメリットとデメリットをわかりやすく解説していきます。
カスタマーサポートの効率化に悩んでいる方、またはお問い合わせツールの導入を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
ノンボイス化とは、企業の顧客対応における電話以外のコミュニケーション方法を指します。
従来までは企業へ問い合わせる時は電話をかけるのが主流でしたが、近年では電話以外にもメール、チャット、SNSを通じて対応するケースが増えています。つまりノンボイスとは、電話以外の言葉を介さずに行うカスタマーサポート全般を指す時に使用します。
ノンボイス化の動きはとくに近年になり活発になりました。はじめに、ノンボイス化が広まる背景について解説していきます。
スマホの普及によりWeb媒体は身近な存在になりました。
誰でもわからないことがあれば気軽にネットで検索して解決する時代です。それに伴い、わざわざ電話をかけなくても、メールやチャットでお問い合わせを済ませたいというニーズが急激に高まったのです。
また、スマホが普及したことで消費者間でもノンボイスでやり取りする機会が増えました。わからないことがあれば自分で調べて解決するという流れが日常になったことで、企業とのやり取りにおいてもノンボイスを希望する消費者が増えているのです。
新型コロナウイルスの感染拡大により我々の日常は大きく様変わりしました。その代表例が三密の回避です。
従来の電話対応によるコールセンター業務は、常に多くのスタッフが常駐しなければいけませんでした。三密を回避するのが難しい職場環境を改善するためには、コールセンターで働く従業員を減らす必要があります。
コールセンターそのものの運営が厳しくなっている現状を打開するための解決策として注目されているのが、電話対応を減らすことができるノンボイス化です。
しかし、そもそも新型コロナウイルスの感染が拡大する前から、コールセンター業務は離職率が高いことが問題視されていました。顧客からのクレーム対応がメインという仕事の性質上、従業員はストレスが溜まりやすく定着率が低いのです。
そのため、ノンボイスによる顧客対応を増やすことで人材不足を解消できるという大きなメリットも企業は享受することができるようになります。
ここからは、企業が顧客対応窓口のノンボイス化を進めることで得られるメリットを紹介していきます。
ノンボイス化することで顧客対応窓口にかかるコストを削減できます。
従来のコールセンター業務では人件費、設備費用、オペレーターの教育費用、広いオフィスが必要でした。しかし、ノンボイス化を推進することでこれらのコストを削減できます。
代わりにノンボイス化の導入コストは必要になりますが、電話対応窓口を維持し続けるよりも格段に安い費用で済みます。
ノンボイス化することで顧客対応窓口の業務効率化を実現できます。
従来のコールセンター業務では、1件の電話に1人の従業員が必要でした。相手の要件を聞き出したうえで内容を整理して説明するという過程が必要になりますので、どれだけ簡単な問い合わせであっても長い時間がかかります。
しかし、チャットやメールといったノンボイスの手段を利用すれば、よくある質問は自動化で返信するフォーマットを作るなどしてスピーディーに対応できます。
また、電話とは異なりメール、フォーム、チャット、SNSなどは24時間のお問い合わせに対応できます。営業内でしか返信できないチャネルもありますが、自動返信を用意しておけばいつでも顧客対応が可能です。
ノンボイス化することで顧客獲得の機会損失を阻止できます。
電話窓口はコールセンターが常駐していなければいけませんので、営業時間の範囲内でのみ対応可能でした。24時間対応にすれば対応はできますが、必要以上のコストがかかってしまうため現実的ではありません。
その点、対応窓口をノンボイス化しておけば24時間いつでも顧客は企業に対してお問い合わせができて返答を得られますので、顧客満足度を高めることができます。貴重な顧客獲得の機会を損失しないというのは大きなメリットといえます。
前述したように、従来のコールセンター業務のほとんどはクレーム処理なので、多大なストレスがかかるため離職率が高い職業でした。しかし、ノンボイス化すれば電話による対応を減らすことができるため、定着率を上げることができます。
また、電話窓口ではなくノンボイスへ誘導するような適切な導線を引ければ、従来であれば電話がかかってきていた問い合わせの数を減らせるため、常設しておかなければいけなかった人の数を減らすことができます。
そのためには、顧客に対して「電話をかけなくても問題を解決できた」というノンボイスの対応を実現しなければいけません。
恒常的に人材不足であるコールセンターの人手不足を解消できるというメリットはありますが、そのためには顧客に負担をかけないサービス設計を構築する必要があります。
続いては、ノンボイス化を導入する際に注意しなければいけないデメリットを紹介していきます。
顧客からの問い合わせの全てをノンボイスで対応することはできません。
ノンボイスはテキスト中心のコミュニケーション方式です。そのため、顧客からの複雑な質問ではテキストでは理解できない場合が多いです。顧客がどれほど困っているかの熱量もノンボイスでは把握できないため、重要なお問い合わせには従来通り電話対応をするなどの使い訳が重要になっていきます。
ノンボイスが適している問い合わせ内容は「さほど難易度が高くないもの」だけです。音声対応の方がスムーズに解決できる場面があるということは事前に覚えておきましょう。
ノンボイスはテキスト中心の対応なので、音声対応よりも言葉づかいに気を付ける必要があります。問題を解決するためだけの端的な文章だと冷たい印象を与えてしまう可能性があるため、顧客へ不快感を与えてしまうリスクがあります。
言葉づかいの作法やマナーは必ず勉強したうえでテキストを作成してください。おすすめはコールセンターのノウハウを参考にすることです。音声対応以上に親切で丁寧な対応でなければいけないというこをとを念頭に置きましょう。
ノンボイス化が注目されている社会的背景、導入するメリットとデメリットを紹介していきましたが参考になりましたか?
慢性的に人材不足であるコールセンター業務ですが、ノンボイス化を導入することで必要な従業員の数は減らせます。その結果、コストの削減と人材不足を解消でき、カスタマーサポートの業務効率も飛躍的に向上させることが可能です。
適切なノンボイス化を実現するためには、音声対応との使い訳が重要になります。どこからどこまでをノンボイスで対応するかを検討し、適切な導入を模索していきましょう。