企業の顔であるコールセンター。
今や多くの企業で当然のように設置されているコールセンターは、顧客や見込み客との接点となり、企業のブランドイメージ向上の役割も担う重要な業務です。近年では、質問対応やクレーム処理だけではなく営業活動でも幅広く活用されています。
コールセンターの運営方法は企業によりさまざまですが、この記事では市場規模を拡大し続けているアウトソーシングのメリットとデメリットを紹介していきます。コールセンターの業務を外注したいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
電話対応業務を受託するコールセンター企業の市場規模は拡大傾向にあります。
日本流通産業新聞社が2021年10月に発表した「第28回コールセンター売上高調査(2020年度)」によると、ランキングに掲載されているコールセンター企業37社の合計売上高は1兆2546億4000万円です。
また、上位30社のうち前年実績と比較が可能な18社は、6.0%も売上高を伸ばしています。
同調査は1993年から開始されていますが、上位30社の売上高は最新の調査まで毎年増加を続けています。このことから、コールセンター市場が拡大傾向にあり多くの企業から高いニーズを集めていることがわかります。
コールセンター市場が拡大傾向にあるということは、多くの企業がアウトソーシングを利用しているということを意味します。
民間企業の需要においても、少子高齢化により今後は労働者が不足していくという背景もあり、コールセンター業務のアウトソーシングにおけるニーズは拡大し続けることが予想されます。
コールセンター業務の接点は電話だけではなくなっています。チャット、SNS、メールなどのノンボイス業務が増加したことでより専門性が高くなっているため、自社で1から業務ノウハウを構築するよりもアウトソースする方が効率的です。
新型コロナウイルスの感染拡大により企業がコールセンターの重要性を強く認識したという背景はありますが、コロナ禍が収束しても市場は堅調に伸びていくと予想されます。
コールセンターは企業にとって顧客との重要なタッチポイントです。コールセンターの対応により企業に抱くイメージが悪くなることもあれば、反対に対応が良くてファンになり新規顧客になる可能性も十分に考えられます。
コールセンター企業の売上が拡大傾向にある理由は、多くの企業が顧客とのタッチポイントが重要だということを認識しているからです。非接触が重要視される現代社会においては、個別の事情に合わせたコールセンターの活用が求められます。
ここからは、市場規模を伸ばし続けているコールセンター企業へアウトソーシングするメリットをわかりやすく解説していきます。
コールセンターをアウトソーシングせずに自社で運用するためには、事務所、電話、パソコン、システム、人材の確保が必要です。
センターを管理するための管理者の配置、スタッフへの教育、マニュアルの策定など、導入費用の他にも膨大な手間がかかるため、イニシャルコストは大きいといえます。しかし、アウトソーシングを利用すればこれらの導入費用と手間は全て削減できます。
コールセンター企業へ依頼すれば月々の費用はかかりますが、自社でセンターを運用するよりは遥かに格安の費用で収まりますので、費用と手間の面で大きなメリットを得られるでしょう。
コールセンター業務をアウトソーシングすることで優秀なオペレーターを利用できます。
冒頭でも説明した通りコールセンター業務は企業の顔です。顧客は見込み客との接点となる重要な役割を担っているため、マニュアルに沿った対応だけではなく自社商品の知識、敬語の使い方、高い順応性が求められます。
優秀なオペレーターを育てるためには実施で経験を積ませてスキルアップしていく必要がありますが、自社でコールセンターを運用する場合は人材育成に大きなコストと手間がかかります。
しかし、コールセンター業務をアウトソーシングすれば社内で蓄積したノウハウを学習した経験豊富なオペレーターが揃っているため、すぐにスペシャリストを企業の顔として利用することができます。
それだけではなく最新鋭の設備と機器も整っているため、顧客満足度の高いコールセンター業務を任せることができるでしょう。
コールセンター業務を専属で用意できない企業の中には、社内の従業員が他の業務と兼任しながら電話対応をしているケースがあります。
顧客からの電話対応は、たとえ簡単な質問であったとしても長い時間がかかります。まずは要件を聞き、解決策を提示するという対応になりますので、高い顧客満足度を維持するためには適当には対応できません。
しかし、コールセンター業務をアウトソーシングすれば社内のメンバーが電話対応をする必要がなくなります。今までは電話対応に取られていた時間をコア業務に充てることができるようになるため、企業の労働生産性も向上していき組織のスリム化を実現できます。
続いては、コールセンターをアウトソーシングするデメリットを紹介していきます。
自社で運用するのではなく外注するわけですから、情報漏洩やセキュリティに関する懸念点は拭えません。当然ですが自社内で運用する場合でも人を雇うためセキュリティ面の懸念はありますが、自社情報の流出という点ではアウトソーシングの方がリスクは高いです。
しかし、最近では大手のコールセンター企業は職場に電子機器を持ち込めないなどの対応をしているところが多く、堅いセキュリティシステムを構築しています。どうしても情報漏洩が気になるという方は、プライバシーマークを取得している業者を選択するようにしてください。
コールセンターの管理者が近くにいないことで情報共有に手間がかかる場合があります。
たとえば、自社でコールセンターを運用していて近くに管理者がいれば、マニュアルだけでは対応できない不測の事態が起きても早急に対応できます。また、製品改善に活かせる言葉などの共有もされにくい場合があるため、お客さまの声を反映しにくくなるという点もデメリットです。
しかしこの点に関しても、アウトソーシングするコールセンター企業と事前に共有方法を確認しておけば解決できます。大手企業であればさまざまな希望条件に合わせてくれますので、契約前に共有方法に関しては必ず確認しておきましょう。
コールセンターのアウトソーシングを利用すると自社にノウハウが蓄積することはありません。
内製化で行えばコールセンター業務のノウハウを蓄積できて経験を積ませてスペシャリストを育成することができますが、アウトソーシングではそうではありません。その点をデメリットと感じてしまう方がいるのも実状です。
今や当然のように設置されているコールセンターですが、多くの企業では自社でセンターを管理しているわけではなくアウトソーシングを利用しています。
電話対応業務を受託するコールセンター企業の売上が年々拡大していることからもわかる通り、多くの企業は顧客との重要なタッチポイントであるコールセンターの重要性を認識しています。
コールセンターを自社で管理するのではなくアウトソーシングしようと考えている方は、この記事で紹介したメリットとデメリットを参考に検討してみてください。