コールセンター、カスタマサポートのノウハウ

コールセンターで重要なオムニチャネルとは?市場規模やメリット、実現方法

作成者: 高橋|Jun 13, 2022 7:27:45 AM

近年、「オムニチャネル」や「マルチチャネル」という言葉を耳にする機会が増えたと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

コールセンター(コンタクトセンター)のマルチチャネル化やオムニチャネル化は、自社の業務を見直すうえで重要な役割を果たすものです。

そこでこの記事では、オムニチャネルとは何か、マルチチャネルとの違い、市場規模、オムニチャネル化のメリットなどについて詳しく解説します。

コールセンターのオムニチャネルとは

コールセンターにおけるオムニチャネル(Omni channel)とは、電話・チャット・SNS・Webサイト・FAXなどの複数チャネルのデータを統合し、垣根をなくすことで「顧客にいつでも、どこでも、同じ品質のサービスや経験を提供可能にすること」を指します。オムニとは英語で「すべての」という意味です。

個々のチャネルのデータを共有しておくことで、顧客にさらなる利便性を提供できます。

オムニチャネルとマルチチャネルの違い

オムニチャネルと似た言葉に「マルチチャネル」があります。

マルチチャネルは「単に複数チャネルがある状態」を指します。一方でオムニチャネルは、マルチチャネルをさらに発展させ「複数チャネルがシームレスに連携された状態」のことです。

コールセンターは近年「コンタクトセンター」と呼ばれるようになり、顧客対応を電話のみではなく、チャット、Webサイト、FAXなどを含めた複数チャネルで顧客対応を行うケースが当たり前に見られるようになってきました。

マルチチャネルは顧客との接点が増えるというメリットがある一方、チャネル間での情報共有ができていなければ、顧客に不便さを感じさせてしまいます。

オムニチャネルでは、こうしたマルチチャネルにおけるデメリットをなくし、顧客により質の高いサービスを提供できます。

オムニチャネルの市場規模

コールセンターを取り巻く環境は、常に変化しています。

インターネットの活用が当たり前となったことで、これまでのように電話やメールでの対応だけはなく、チャットやSNS(LINE、Twitter、Facebookなど)など、顧客ニーズの多様化が増加。それに伴い、マルチチャネルやオムニチャネルの対応の必要性が高まっています。

ここでは、オムニチャネルの市場規模を見てみましょう。

出典元:株式会社野村総合研究所「ITナビゲーター2021年版」

上記は、株式会社野村総合研究所が2020年12月17日に発表した「ITナビゲーター2021年版」のデータで、インターネット・実店舗かは問わず、一般消費者向けの商品やサービスをインターネット上の情報を見て購入や利用した人を対象にしています。

このデータによれば、2020年度時点のオムニチャネル市場規模は56.7兆円。その後も年々市場規模は拡大し、順調に成長していくことが予想されており、2026年度には80.9兆円にも上る見込みです。

2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によってさまざまな企業が大きな影響を受けましたが、ECは逆に需要の高まりを見せており、オムニチャネルの重要性も今後さらに大きくなっていくと予想できるでしょう。

コールセンターのオムニチャネル化のメリット

コールセンターのオムニチャネル化にはどのようなメリットがあるでしょうか?ここから、詳しく解説していきます。

データの一元化による情報活用の促進

オムニチャネル化には、データを一元化することで情報が活用されやすくなるというメリットがあります。

複数チャネルが分断されている状況では、顧客のデータはそれぞれのチャネルごとに蓄積されることになりますが、これでは顧客情報を一元的に把握することができません。

オムニチャネル化し、すべてのチャネルのデータを統合すれば、複数チャネルの情報を大きな一つのデータとして有効活用できます。

データがどこにあるかと探し回る手間も減り、社内でのデータ活用も促進されるでしょう。

顧客満足度の向上

電話・チャット・SNS・Webサイト・FAXなど、問い合わせに選択肢があることは顧客にとってもメリットです。

しかし、メールで問い合わせていた顧客がさらに詳しい話をするためにコールセンターに電話をかけた際、メールでの問い合わせ内容が共有されておらず、また一から説明しなければならない状況になってしまっては、顧客は「不便である」と感じるでしょう。

オムニチャネルで情報を連携させておけば、オペレーターは速やかに顧客の情報を理解し、適切な対応が取れます。

説明の手間が省けるだけではなく、顧客に「自分のことを知ってもらえている、大切にされている」と感じてもらうことができるでしょう。

タッチポイントの増加、サービス利用数の維持

複数チャネルを展開することで、顧客との接点が増加することもメリットです。

いくつもの接点があることで顧客は自由な方法で問い合わせをしやすくなり、購入のハードルとなっていた疑問点をスムーズに解消できます。タッチポイントの増加によって、サービス利用数の維持や向上にもつながるでしょう。

機会損失防止

オムニチャネルによって複数チャネルの情報を把握することは、機会損失を防ぐことにもつながります。

たとえば、電話が混み合っていてコールセンターになかなかつながらない場合、チャットへの切り替えができれば、顧客は待つことなく問題を解決できます。

スマートフォンの普及によって、現代人は「待つことが苦手になった」といわれているため、顧客を待たせることなくスピーディーな対応をすることは機会損失を防ぐためにも非常に重要です。

コールセンターでオムニチャネルを実現する方法

コールセンターのオムニチャネル化のためには、コールセンターシステムを有効活用することが大切です。

CTI、IVRなどコールセンターシステムの活用

現在、多くのコールセンターでコールセンターシステムが使われています。中でも代表的なものがCTIとIVRです。

  • CTI(コンピューター電話統合)
  • IVR(自動応答システム)

CTI

CTI(Computer Telephony Integration)とは、コンピューターシステムと電話・FAXを統合する技術のことです。企業のCRM(顧客管理システム)、PBX(構内電話交換機)、SFA(営業支援ツール)などと連携することで、コールセンター業務を効率化します。

CTIを使うことで、複数チャネルの情報を一つの画面でまとめて管理できるようになります。

IVR

IVR(Interactive Voice Respons)は自動応答システムと呼ばれ、顧客からの電話に対してあらかじめ用意した音声ガイダンスで対応することで、有人対応を減らせます。

オムニチャネル化によってチャネルが増えると、オペレーターの負担が増加し、問い合わせに対応しきれなくなってしまうリスクが生じます。

IVRでは「電話がつながらない」という状況になったときに、自動音声によって顧客のよくある質問に対応したり、SMSを送信してチャットに誘導するなどの対応も可能です。

よくある質問(FAQ)コンテンツの見直し

効率的なオムニチャネル化のためにも、各チャネルから導線を引くことになるよくある質問(FAQ)コンテンツの見直しを行いましょう。

「情報が古く更新されていない」「わかりにくい」場合は内容の改善を、「そもそもよくある質問(FAQ)コンテンツがない」場合は、新たに作成する必要があります。

まとめ

コールセンターではこれまで電話やメールでの対応が主流でしたが、近年ではチャットやSNSなど顧客ニーズの多様化が進んでいます。

マルチチャネルならでは弊害を無くし、顧客によってよりよい体験を提供可能となるオムニチャネルは、顧客満足度の向上、業務効率化に大きく貢献することとなるでしょう。